一番好きな、黒いブラウス。
一番好きな、ピンクのジェリーバッグ。

それと。
……一番すきな、……あに。

机の上のカタログを手に、ベッドにこしかけて。
……春物の宣伝も兼ねて、色々なお店の新作が並んでる本の中。
まだ……ヘッドドレスを着けるのは、ちょっと恥ずかしいかな。

白い革のミニクラウンが、今一番のお目当ての品。
……あにと一緒にお出かけ……これ、買えるといいな……☆


━━━やーい、ブスー、お前なんか……


……まだ、いじめられっこだった頃。
何をしててもはやし立てられて、それがすごく嫌で。
いつも、走ってお家まで帰ってた。

……あの時だったなぁ、……あに、が……
初めて、知らない街に連れてってくれたの。

初めての電車に乗って。
初めて自分で切符を買って。

いくつか先の駅で、……あにに手を引っ張られながら降りたよね。


見た事もない服を着た人たち。
頭の中で考えたこともなかった、奇抜なお店……

こわい。

そう思ってた。

でもそんな町並みを、……あには、ずんずん歩いていって。
……あたしの手を引っ張りながら、つっけんどんに。
怒ってるのかな、ずっとそう思ってたら。


……あに。
あたし、忘れてないよ、あの時言ってくれたこと。

『お前は絶対、かわいくなるんだ、ここに来れば!』


……うふふ、おかしいね。
街を歩いただけじゃ、『かわいく』なんてなれないって今なら分かるけど。
……でも、あの時、……あにとあたしに考えられる最高の『おしゃれ』は、お出かけだったんだよね。
お金もないのに、お店とお店のすきまを抜けて。
結局帰り道が分からなくなっちゃって。
おまけに二人とも、帰りの電車賃なんて持ってなくって。
ポケットの中の十円玉で、お家に電話して……
あたしは、心細くってすぐ泣いちゃったけど。
……あに、ずっと、あたしの手を握って、泣くのを我慢して。

迎えに来てもらって、初めて一緒に泣いたんだよね☆うふふ……


おまえはぜったい、かわいくなる……

……あに。
一番、かわいくなりたいよ。

一緒にお出かけして。
一緒にお洋服選んで。

……あにが好きなお洋服、あにが好きなお店……
……あにが、好きだと思うような、あたしになりたい。


あれから、気が付いたらいじめられる事もなくなって。
それでも相変わらず、あたしは……まだ、みんなとお話するのが苦手だけど。

でも。
あにと一緒だから、恐くなかった。
ねぇ、あに……


次のお出かけでは、どこを周ろうかな。
……どんなこと、お話しようかな。

机の上にカタログを置いて。
電気をひとつだけ、暗くして。


今なら、帰りの電車賃もあるし、お家に帰る方法だってちゃんと知ってる。
……でもあたし、あの時のこと、一生忘れないよ。

帰る事も考えずに、あたしを『かわいく』してくれようとした事。

帰れなくなった、時……
……ずっと、つないでくれた、手。

……ぜったい、かわいくなるんだ。

帰れなくなっても、今なら……平気だよ。




……いつか、目の前で言いたいな。

……あにの一番に、なり……





……

…………や、やっぱり……


……恥ずかしくて、言えないよぉ……


……も、もう寝ようっと……
ベッドに横になりながら、ため息ひとつ。
……はぁ。



……おやすみなさい、……あに。


はい、キャラコレ『逢』第一弾です。
逢もそうですが、ゆきももちろん買い物スキー。
なかなか見るだけで終われずに、結局買っちゃう性格なんですけどねw
ちなみに、逢が読んでた服のカタログ。
実は『ゴシックロリータバ○ブル』なのは内緒の方向でw
ゆき愛読書でもあります(笑)アト○エBOZマンセーww
 



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