それはどこまでも続く、星空……
風の音、枝葉のはじける音。
……ぐぅ。
や……やっぱり、作れないよぉ、これ……
「も〜、逢ちゃん、ぐぅ、ってぇ……」
ご……ごめんね、乃彩ちゃん……
晴れているうちに、ビデオレターじゃないんだけど……
……メッセージを吹き込んだシングルを、……その……
作ろう、ってことになったの。
今日は七夕。願い事をかなえるために、短冊に……本当は、そうなんだよね。
でも……いろいろあって、乃彩ちゃんとお話するうちに……
……えへへ、……あにに、ないしょで……小さなドラマをつくろう、って……
それを、短冊代わりに……あにに、送ろうよ、って。
お互いに約束して、あたし……夏休みを利用して乃彩ちゃんのところへ。
さっそく……どんな風に作ろうか、相談して。
乃彩ちゃんはBGM、あたしが……ナレーション。でも……
「さらさら〜、さらさら〜……」
の……乃彩ちゃん、声で言っちゃったら……全然、笹の音じゃないよぉ……
「ん〜……そ、そうだよね〜……じゃあ、えっと、ざざ〜ん、ざざ〜ん……」
……??……の、乃彩ちゃん、今の……何?
「え?うん、波の音だよぉ。」
な……なみの……おと?
「うん。お空の、天の川の。」
えー……うふふ、今の、かわいいね。それ……げっと、、だね。
「えへへ〜☆」
……こんな感じで、……ふたり、いよいよ吹き込み……って、なったんですが。
「う〜ん、逢ちゃん、ナレーションできないね〜……」
ぐぅ、どうしても、途中で言葉が途切れちゃうよぉ……
「ぴゅー、ぴゅ〜。ざざーん、ざざ〜ん……」
……ぷ……ぐ、ぐぅ、また、笑っちゃったよぉ……
「ぐー!逢ちゃん、笑うなんてひどいよ〜。」
う、うふふ……ご、ごめんね。
そう、乃彩ちゃんのBGM……かわいすぎるんです。
つい……ぐ、ぐぅ、笑っちゃうの……
「う〜ん、乃彩、BGMやめた方がいいかな〜?」
そ、それは嫌だよぉ……だって、一緒に作りたいもん……ぐぅ。
開いた窓から。
さらさら……さらさら……
「……?どしたの、逢ちゃん?」
……ねぇねぇ、乃彩ちゃん……今の音、なんだろう……
「え?……何の音?」
うん……ほら、今……
さらさら…………さらさら……
「???」
?…………あ、もしかして……
『……窓の、そと?』
駆け出したあたしたちは……
もう、空は夕暮れ。
まるで、ほおづきを水にうかべたみたいな、赤い夕日と、紺色の空。
「……逢ちゃん、きれいだね〜……」
……うん……すごい、きれいだね……
吹き込みに時間がかかるうちに、……もう、夜になっちゃってたの。
……そして、風が少し、涼しくなって。
…………さらさら……さらさら……
「………………」
……この、音……だったんだね。
それは、近くの川辺の……熊笹の、波だったの。
……ねぇ、乃彩ちゃん……?
「?なぁに?」
天の川って……お空だけとは、限らないよね……
「うん……逢ちゃん、すごいね……これ。まるで……」
そう……
まるでそこは、これから船が着くはずの、天の川辺のようで。
さらさら…………
星と、風と、光の粒。
…………ねぇ、この音……
「?」
……乃彩ちゃんも、やっぱり……BGMなんかじゃなくて、一緒に……
……言おうよ?……あに……あにち〜さんに……
「え?……あ……」
そこで、乃彩ちゃんも気がついたの。
やがて、いそいそと道具を持ってきて。
ノートパソコン・マイク・そして……
……笹の葉の、揺れる音……
それはまるで、静かな波の音……みたい、でした。
…………
準備は、万端。
あたしと、乃彩ちゃん、二人とも、ひとつだけ……深呼吸。
……あに。
「……あにち〜……」
さら、さら……
だいすき、です。
「……えへへ、いつも、大好きだよ……」
『……あたしだけの、ひこぼしさま。』
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言葉をこめた、ちいさなCD。
2枚だけ作って……
「……えへへ。」
……うふふ。
青いCDを入れた「折り曲げ厳禁」の封筒には。
大きな熊笹の葉っぱが、一枚。
……ささなみを、ゆらすしらいと、おりていま……
「わたせるはしの」つゆけきを、おもう……
「ね、ねえ、今の、どういう意味なの?」
うふふ……ないしょ。
……あにに、届くといいな。あたしたちの……ことの、は。
「う〜……本当、どういう意味なんだろ……?」
遅くなっちゃって、すみません。
七月のSSです。
で、今回は静葉さんと一緒に作ろう、って事になりまして……まずは、ゆきが「メッセージ」を作りました。
……静葉さんの作品、出来次第リンクします……