……そうして、お花が……うまく、楓ちゃんのところに、届いたのかな?

うふふ、そう……楓ちゃんの、お誕生日……だったんだよね。
「ぃやー、苺ちゃんも楽しかったのだ!」
うふふ、そうだね。
「まあ、『このさいイチゴでもいーや』のくだりは、感心しないけど……」ま、まあまあ、苺ちゃん……うふふ。


そうして、お誕生日のプレゼントは……うふふ、不思議な形で買えて。
苺ちゃんも、そして、あたしも……
思わぬ形で、いい買い物ができたんだよね……えへへ。

「それに、逢ちゃんの教えてくれたあのお店、かわいいのもかっこいいのもあって、すごく良かったのだ☆」
あ、プトマヨ、気に入ってくれたの?うふふ、よかった。
「なのだ☆」
うふふ、だよね?


……楽しい時間。
夕暮れはもう、すぐそこまで足を伸ばしてきていて。
……苺ちゃんは、もう帰る時間になって。
「楽しかったのだー!また、一緒にお出かけしたいのだ!」
うふふ、あたしもだよ。……また、いつでも呼んでね。
「もちろんなのだ!……逢ちゃん、元気になってくれて、良かったのだ。」
……え……?
「お昼に会った時……実は、苺ちゃん、ちょっと心配だったのだ。」
……うん……
やっぱり、苺ちゃんにばれちゃってたんだね。
「……普段、逢ちゃんは……そういう服を着てる時は、生き生きしてるのだ。」
……え……生き生き?
「なのだ☆……でも、……苺ちゃんはまだ、逢ちゃんとこうして長い時間会って遊んだのは初めてだけど……だから、分かってないかもしれないけど、逢ちゃんと服がちぐはぐに見えて、びっくりしたのだ。」

……服と、ちぐはぐ……だったの?
「なのだ。服は楽しそうにフリルが揺れてて。苺ちゃんのだって、楽しそうに揺れてるのだ☆……でも、逢ちゃんだけが、なんか……暗かったのだ。」

そのとき、あたしがどんな顔をしてたのか、あたしにはわからない。

「でも、一緒にいて、逢ちゃんの声やなんかが元気になって……だから、安心したのだ☆」
……もしかして、ずっと……心配、させちゃってたのかな?
「苺ちゃんは、細かいことにとらわれたりしないから、心配よりも楽しい方がいっぱいだったのだ☆」

苺ちゃん……
「だから、また、一緒に遊びにいこうなのだ!」



……苺ちゃんとお別れした、ひとりぼっちのホーム。
大切なお友達の誕生日。
……痴漢にあってしまった、嫌な思い出。
……でも。
それ以上の、とってもあたたかい記念日。

あたしは、苺ちゃんっていう子がまだ、どんな子なのかちゃんとはわからない。
それはきっと、彼女も同じだろう。
……それは、あたしにとって……あにと、みんなとの、一番の違い。

あにのことは、ずっと昔からよく知っていて。
どんな人で、どんなところがすてきか、わかってて。

どんな嫌なところがある、って分かっても、きっと好きでいたくなってしまう……そんな、ひと。
だれかの嫌なところが分かってしまった時、それでもあたしは普段と変わらない……そんなお付き合いはできないかもしれない。
きっと、あれこれと考えてしまう。考えることが普通だと思っている。


…………

……『苺ちゃんは、細かいことにとらわれたりしないから、心配よりも楽しい方がいっぱいだったのだ☆』

苺ちゃんは……自然だね。

幸せにしたいから何かをするんじゃなくて。
幸せになってほしいって思うことも、人には必要。
……相手に幸せになってほしいことと。
……相手が幸せになることによって、そこにいる自分が幸せになること。
……相手のことと、自分の事。

楓ちゃん?
あたしは、確かに……楓ちゃんとも仲良しになりたいよ。
だけど、それよりも……

今、楓ちゃんが……幸せに包まれてて、世界で一番のお誕生日を迎えていてくれたら……

あたしが知っていようと、いまいと。
……心配よりも、楽しいことがいっぱいの、時間。

……あたしに、そういう時間は……作れるのかな。
それとも、まずは作っていけるように努力してみるのがいいかな?


……答えは、何となく分かってるけど。
携帯を取り出して、着信履歴を出して……

『おー、苺ちゃんなのだー!逢ちゃん、どうしたのだ?』
あ、うふふ、あのね、ちょっとした質問なんだけど……
『おー、この苺ちゃんにおまかせなのだ☆』
えと、もしも……痴漢にあったら、苺ちゃんならどうする?
『んー、そんなやつ、ひねり上げちゃうのだ!』

うふふ、やっぱりね。



もう、恐さよりも……

そうだよね。
つまらない痴漢なんて……ひねりあげちゃう、だよね?
だって、あたしはあにのものなんだか…………

………………

…………ち、ちがうよ!違うけど、違わないけど違うよ!

…………ぐぅ。


楓ちゃん、お誕生日……おめでとう。
この言葉、届いていても、いなくても……

……ひとつおとなになって。
すこしずつ、おとなになっていくなかで。

……他のなんでもない、すなおな、しあわせがあなたの元に届きますように。


はい、というわけで……
って、楓ちゃんの誕生日なのに、そのお祝いが遅れてこれ、って……(汗)
すいません、許して楓ちゃん(汗)


ゆきは、たまに痴漢に遭います。
でも、俺は幸いにも力も強引さもあるので、それを防げます。
それが適わない子達……今日、帰りがけに会った子もそうでした。
痴漢は犯罪です。でも、それ以上に愚劣です。
そして、絶望的な悲しみや屈服感を誘発する、卑怯な行為です。

楓ちゃんのまわりに、そういう卑劣漢が現れないよう、あにさま頑張らなきゃね。
そして、負けるな女の子。


まあ、俺が言ったところで、変態古典教師の憂鬱だべなww
戻ります……☆